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COSMOSの原発関連ニュースメモ

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毎日たくさん流れてくる原発関係のニュースの個人的なメモです。

原発公害に公害犯罪処罰法の適用を(山本行雄弁護士のブログより)


<以下にご紹介するのは、先日の「松本市長の講演と札幌市長との対談」を主催した団体「≪放射能汚染防止法≫を制定する札幌市民の会」の山本行雄弁護士のブログの記事のコピーです。
山本氏のブログはこちら

この集会で知らせて頂いたいくつかの情報の中で、「こんなに良い法律があったのか!」と新鮮な驚きを覚えたものです。高度経済成長の結果、日本は「公害列島」という言葉が生まれるほど、公害問題が深刻な状況になりました。たくさんの訴訟がおこりました。
その中で、被害者の方たちの想いからこのような法律が本当に生まれたのだ、ということを知りました。
今、凹んでいる場合ではない、と思いました。
是非、お読みください。 

「≪放射能汚染防止法≫を制定する札幌市民の会」については以下を参照して下さい。

「放射能汚染防止法」を制定しよう

「放射能汚染防止法(案)」札幌市民の会案の要点

COSMOS>

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原発公害に犯罪処罰法の適用を


40年前に公害被害者が生み出した短い法律を紹介します。
たった7カ条しかありません。全文を紹介します。とにかく読んでみてください。略称「公害犯罪処罰法」または「公害罪法」と言われている法律です。

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 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(昭和45・12・25 法第142)
           施行昭和46・7・1(附則) 

(目的)
第1条 この法律は、事業活動に伴って人の健康に係る公害を生じさせる行為等を処罰することにより、公害の防止に関する他の法令に基づく規制と相まって人の健康に係る公害の防止に資することを目的とする。 

(故意犯)
第2条 
①工場または事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質(身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質を含む。以下同じ。)を排出し、公衆の生命又は身体に危険を生じさせた者は、3年以下の懲役股は300万円以下の罰金に処する。
②前項の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。

(過失犯)
第3条 
①業務上必要な注意を怠り、工場又は事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出し、公衆の生命又は身体に危険を生じさせた者は、2年以下の懲役若しくは禁錮又は200万円以下の罰金に処する。
②前項の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は300万円以下の罰金に処する。

(両罰)
第4条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の業者が、その法人又は人の業務に関して前2条の罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。 

(推定)
第5条 工場又は事業場における事業活動に伴い、当該排出のみによっても公衆の生命又は身体に危険が生じうる程度に人の健康を害する物質を排出した者がある場合において、その排出によりそのような危険が生じうる地域内に同種の物質による公衆の生命又は身体の危険が生じうる地域内に同種の物質による公衆の生命又は身体の危険が生じているときは、その危険は、その者の排出した物質によって生じたものと推定する。

(公訴の時効)
第6条 第4条の規定により法人又は人に罰金刑を科す場合における時効の期間は、各本条の罪についての時効の期間による。

(第1審の裁判権)
第7条 この法律の定める罪に係る訴訟の第1審の裁判権は、地方裁判所に属する。

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まるで、放射能汚染に対して作られたような法律だと思いませんか。

2  公害被害者の運動が生み出した法律
この法律は1970年(昭和45年)に成立した法律です。1970年というのは「公害国会」のあった年です。14の公害関連の法案が成立しています。この公害犯罪処罰法もその一つです。公害被害者の人たちが差別や偏見に苦しみながら勝ち取った法律ということができます。この法律は、当時の被害者自身のために役立つ法律ではありません。「自分と同じ思いをさせたくない。」という願いが生み出した法律です。

3  公害規制法とは何かを知る灯台のような法律
この法律は「人の健康を害する物質」すなわち公害物質をばら撒く行為は犯罪として罰するという、明快な法律です。公害関係の法律を知るのには、この法律を何度も読み直してみることです。多くの人にこの法律を紹介すると「原発事故のために作られたような法律ではないか」といいます。この法律は今後の脱原発時代の原発公害を規制する法律を作っていくために灯台のような役割を果たしてくれそうです。
4  なぜこの法律を適用しないのか
放射性物質は「人の健康を害する物質」です。環境基本法をはじめとして環境・公害関係法は放射性物質を明文で適用除外としています。この法律には適用除外と書かれていません。書かれてはいないが環境基本法を はじめとして公害規制の対象から放射性物質を外しているので、公害法に属するこの法律も適用がないとして扱われているようです。環境法の専門書でもこの法律の解説の中に放射性物質は取り上げられていません。

5 最高裁が骨抜きに
この法律はほとんど活用されていません。最高裁が事故による有毒物の漏洩事件について、「事業活動の一環としての排出」ではないから適用がないとして、事業者に連続して無罪判決を出したからです。このため、この法律で起訴されるということは実際上なくなってしまったのです。
放射性物質をこの法律の適用対象とする改正をする場合は、福島原発事故のような場合にも適用できれるように条文の手直し(改正)も必要です。最高裁も法律そのものを適用できるように改正すれば、それに従わなければなりません。     

6 「想定外」の責任逃れを許さないためには
福島原発事故とほぼ同時に「想定外」という表現が条件反射的に上がりました。想定外であればミス(過失) はない。だから責任は負わない。この論理で誰も責任を負わされていないのが現状です。しかし、「あぶない」と指摘されていたのです。こんなことでは、次の事故が起こっても誰も責任を問われないでしょう。ここに法の 欠陥があります。危険な情報を無視したり軽視した場合に重い責任を負わせる規定が必要です。

そこで考えられるのが国民が危険な情報を通報する制度です。

7  「放射能汚染防止法を制定する札幌市民の会」の改正案
2011年11月11日私も参加している「放射能汚染防止法を制定する札幌市民の会」が公表したものです。当日現在のもの若干訂正して紹介します。

・・・ <改正すべき内容>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・         
1 人の健康にかかわる公害犯罪の処罰に関する法律(公害散在処罰法)の「人の健康を害する物質」に放射性物質を含める。
2 同法の「工場又は事業場における事業活動に伴って・・排出し、」を「工場又は事業場から・・
排出し」に改めること。注① 
3 原子炉等(放射性物質を扱う全ての施設事業場)については特に危険性に関する通報制度を設けること。
危険通報制度には、次の内容を含むこと。
① 何人も(法人及び任意の団体を含むこと)原子力施設から放射性物質が漏えいする原因となる危険性について国に対し通報する権利を有すること。放射性物質が漏えいする原因となる危険性には、原子炉等の構造的機能的欠陥、その損傷やその恐れ人的安全態勢の不備・欠陥、地震や津波など自然現象による放射性物質漏えい事故発生の可能性、飛行機事故、その他放射性物質による環境汚染の可能性ある事項すべてに及ぶこと。
② 国(担当環境省)は。前記の通報を受けた場合は、即日原子炉等設置者及び関係機関(国及び自治体など原子炉等の安全性に関与する機関)に通知し、3日以内に公示すると共に一般に周知する方法を講じなければならないこと。
③ 前記通報を受けた原子炉等設置者は通報内容について、調査計画書を作成し通報から7日以内に公示し、通報者に通知すること。調査の結果は1ケ月以内に全文を公示し通報者に文書で知らせること。この場合調査に使用したすべての資料の目録と資料の評価内容を通報者に知らせ、何人も資料を閲覧できかつ資料の写は無償で交付を受けることができること。
常勤期間内に調査が終わらない場合は、遅延の理由を付して国に延期の申請をし許可を得なければならないこと。延期の期間及び回数に制限を設けること。
④ 独立行政委員会である放射能汚染規制委員会を設置すること。規制委員会は国から前期通報の通知を受けたときは、通報内容について原子炉等設置者とは別に独自に調査し原子炉等設置者の調査結果の適否を審査し、必要に応じて再調査を命じ安全上の必要があるときは原子炉等の運転の停止や改善を命じなければならないこと。
⑤ 現行罰則規定について刑を重くすること。通報内容を無視し又は過少に評価し、必要な安全措置(原子炉等の運転停止を含む)を怠ったことと因果関係がある場合は、重過失放射性物質漏えい罪として、厳罰をもって臨むこと。

注① 最高裁が事故による漏えい事故について不適用とし、この法律の機能を失わせたことを立法により解決すること。
注② 通報先はとりあえず国としておく。

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by y_csm521 | 2012-02-12 00:53 | 政府・電力会社・抗議・裁判

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