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COSMOSの原発関連ニュースメモ

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毎日たくさん流れてくる原発関係のニュースの個人的なメモです。

「ドイツの脱原発はフランスの原発から電気を買っているから」を徹底的に駁す!!


≪ドイツが脱原発出来るのは、フランスから電気を買っているから、という言葉は、本当であるかのように語られてきました。そのことを検証する文章です。by COSMOS≫

先日の『朝まで生テレビ』をご覧になった読者の方も多いのではないでしょうか?

以前にも私は「森本敏氏のデマを駁す」と題して、原発推進派の俗論「ドイツの脱原発はフランスの原発から電気を買っているから」という説が、ドイツの発電容量が約150ギガワットで電力需要量が最大ピーク時でも80ギガワットであり、倍近い余裕があって、数年前から輸出が輸入を上回り、むしろ電気が余って輸出して外貨を稼いでいるぐらいであり、全くのデマであると論じた文章を、このMLにも投稿し、shut泊の機関誌に発表させていただきました。『週刊ポスト』記事への反論も投稿させていただきました。

この俗論は、私が思っている以上に影響力があることが分かりました。先日の『朝まで生テレビ』において「ドイツの最新データで電力の輸入より輸出が上回っている」と主張した河野太郎自民党衆議院議員に対して、元原子力安全委員で息子さんが福島第2原発で働いているという木元氏が今や推進派筆頭ともいえる奈良林直北大大学院教授と声を揃えて、「それは全然違います」「フランスが電気が足りなくなったことがあって、ドイツが火力を焚き増しして大量に輸出したことがあったから、たまたまそうなっただけで、普段はドイツはフランスから買っているんです」と反論する場面を見て、『週刊ポスト』記事に続いて再度、怒り心頭になりました。

しかし、怒りにまかせて書いては敵に足をすくわれます。前回私が書いた記事は緻密さに欠けていた面があったことは否定できません。読者の分かりやすさを追求した結果ですが、前回の記事を読んだ人は、とりわけ『週刊ポスト』批判では「いい加減にしろ!!と言いたいです。どうして、倍近い供給能力があるのにわざわざフランスから電気を買わなくてはいけないのか!」とまで書いてしまったので、私の主張が「ドイツはフランスから電力を全く買っていない」という趣旨だと誤解された人が多いと思いますので、さらに詳しく述べさせていただきます。

長文になりますが、精密さを期すためですので、何とぞ最後までお付き合い下さい。

以前の投稿にも私は「数年前から輸出が輸入を上回っている」旨書いています。ドイツがフランスを含む外国からの電力輸入が全くないという認識だったわけではありません。もちろん、年間トータルで国全体では電気の輸出の方が多くても、時期によって日によって地域によっては電力が足りなくなって、フランスを含む外国から陸続きの送電網を通して融通されることはあります。ドイツはヨーロッパのほぼ中央にあることもあり、第3国同士の電力取引の中継点にもなっています。したがって自国で使用しなくても、外国から電気が流入することはあります。例えば北電の電力を東北電力管内を通過して東電管内に送電するのと同じこともあるのです。

ちなみに、ドイツとフランスの2国間取引では2010年のデータhttp://www3.ocn.ne.jp/~elbe/kiso/atomdata03.htmlで見ると年間でドイツからフランスへの輸出が778ギガワットに対して輸入が15313ギガワットなので、14535ギガワットの輸入超過です。原発推進派が「ドイツが脱原発ができるのは、フランスから電気を買っているため」とする根拠はここにあると思われます。

しかし、これは典型的な「木を見て森を見ず」の議論です。当然ながら輸出入はフランスだけではなくデンマーク、オランダ、ルクセンブルグ、オーストリア、スイス、チェコ、ポーランドなど他の隣国とも行われています。国全体では17596ギガワットの輸出超過です。仮にフランスからの輸入が全面ストップしても2283ギガワットの輸出超過です。また、フランスからの輸入量15313ギガワットは、ドイツの総発電量約600000ギガワットの約2,5%でしかありません。こんなもので脱原発分を補えるはずもありません。

2011年は福島事故後17基中8基の原発を停止したため、差は縮まりましたが、それでも国全体では5963ギガワットの輸出超過です。前回批判した森本氏と共著を出した山名元氏はその本の中で8基の停止のため、2011年度は輸入超過になると予想していましたが、現実はそうならなかったのです。そして、上記のように必ずしも自国で消費するとは限りません。更には、フランスの電力も原発による発電が7割以上を占めているとはいえ、全部が原発によってつくられた電力ではありません。

これらの事実を考慮すれば、「ドイツが脱原発はフランスの原発から電気を買っているから」がこじ付けであることは明らかでしょう。

とはいえ、フランスと国境を接するラインラント、ザール、バーデン・ヴュルテンベルグの3地方は、ドイツ有数の工業地帯で電力需要も多く、フランスから電力を買うことが夏季を中心にあることは確かです。フランスだけではありません。2011年12月には北部から南部への送電能力が不足し、南隣りのオーストリアの火力発電所から電力を輸入する事態も発生しました。少なくなったドイツ国内の原発のうちいくつかがこの地方に存在するhttp://www3.ocn.ne.jp/~elbe/kiso/atomdata02.htmlのも、その電力需要の高さが大きな理由だと思われます。その原発も約半分が止まったのですから、2011年は更に輸入量は増えたでしょう。しかし、先程も書いたように、それでも1日の電力消費量の約3%でしかありません。http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51630834.html

それでも、ドイツ政府は課題と認識しており、原子力による電力の輸入に依存しないことを明言し、風力を主力とする自然エネルギー電力の発電量が豊富な北部から電力需要の豊富なこの3地方を含む南部への送電網の整備を急いでいます。

また、『週刊ポスト』記事なども、「ドイツで自然エネルギーが盛んなのは、不安定さを火力でカバーするだけではなく原発で作られた電力をフランスから大量に買っているから」と主張していますが、これもおかしな論理です。「大量」がどの程度を意味しているかは不明ですが、自然エネルギー大国のドイツでは2010年の年間総発電実績(容量・発電能力ではなく実際に発電した量)約60万ギガワットに占める自然エネルギーによる年間発電実績は、約10万ギガワットです。(2010年のドイツの最大出力ではなく実際の発電量に占める各エネルギー別の割合は、こちらhttp://www3.ocn.ne.jp/~elbe/kiso/atomdata01.htmlをご参照ください)それに対して、先程紹介した2010年のフランスからの電力輸入量は実績で約1,5万ギガワットですから約15%でしかありません(総発電量に対しては約2,5%)。こんなもので自然エネルギー分がカバーできるはずがないではありませんか。それに対して石炭火力の年間総発電量は約26万ギガワットで設備容量なら、稼働率80%で計算しても約33万ギガワットで約7万ギガワットの余力があります。自然エネルギー分の約7割を補える対応力があるわけです。更にドイツ政府は、今後新型の発電効率が高く環境負荷の少ない新型石炭火力発電所と天然ガスコンバインドサイクル発電所数基の新設を決定し、進めています。

この事実をもってして、どうして「ドイツで自然エネルギーが盛んなのは、不安定さを火力でカバーするだけではなく原発で作られた電力をフランスから大量に買っているから」などと言えるのでしょうか?いったい、『週刊ポスト』記者は何をもって「客観的なデータと綿密な取材がジャーナリズムの最低限の責務」などと称しているのでしょうか。彼らの言う「大量」とは、対象の15%・総量の2,5%のことなのでしょうか?

以上、詳細に数値を明らかにすればするほど、彼らのデタラメぶりがより鮮明に証明されて際立つことは明らでしょう。したがって、以前の記事に書いた「デタラメを言うにも程がある!バカも休み休み言って欲しい」「『ドイツの脱原発はフランスの原発から電気を買っているから』でないことは明明白白である」という私の主張は根拠十分であることを、読者の大部分にはご理解いただけるでしょう。

<補足>
以前、ドイツの最大発電能力(発電容量)150ギガワット、最大ピーク時で80ギガワットと書いたのは1時間当たりの発電量です。つまり150Gw/h、80Gw/hを表しています。

フランスからの電力輸入量が1日の電力消費量の約3%にすぎないと言ったのは、フランスからの電力輸入量は1日平均で40ギガワット程度に過ぎません。
つまり、最大ピーク時の1時間当たり80ギガワットで計算すれば、80×24=1920ギガワットですから、40÷1920=2,08%にしかなりません。60ギガワットの計算でも、60×24=1440ギガワットですから、40÷1440=2,78%です。半分の40ギガワットの計算でも40×24=960ギガワットですから、40÷960=4,17%にすぎません。

これが、原発停止分や自然エネルギーの不安定分のカバーにならないことは明らかです。

by Osami Kamahana


 

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by y_csm521 | 2012-03-14 01:07 | 世界の状況