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COSMOSの原発関連ニュースメモ

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毎日たくさん流れてくる原発関係のニュースの個人的なメモです。

政府に対する、放射能汚染食品の摂取による内部被曝の回避に向けた七つの提言

海洋、湖沼、河川への放射能汚染の拡大や食品・がれきによる内部被曝の不安に対しては、政府は意図的サボタージュといえるほど無策のままで政争に 明け暮れていますが、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」が緊急に「政府に対する、放射能汚染食品の摂取による内部被曝の回避に向けた七つの提 言」を公表していますので許可を得て2回に分けて紹介させていただきます。

「提言」では、内部被曝を回避するために、海洋、湖沼、河川を含む国土全体の汚染調査と食品の生産・流通のあらたなシステム構築が緊急に呼びかけ られてい ます。同時に、食品の「暫定規制値」、「新基準値」および「出荷制限の法的根拠」の発表経過とともに「食品調査の杜撰な実態」が告発されていま す。

とりわけ日本政府が依拠しているICRP勧告が、いかに核開発と原子力産業を最優先に画策して人命を軽視する文言を「考案」してきたかが、時系列 で紹介されていますので注目していただきたいと思います。

●出典:市民と科学者の内部被曝問題研究会


======以下、(前半)全文転載=====

■政府に対する、放射能汚染食品の摂取による内部被曝の回避に向けた七つの提言
(市民と科学者の内部被曝問題研究会)
内閣総理大臣 野田佳彦殿
 私たち、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」は、東京電力福島原子力発電所の事 故に伴う 放射線による被曝に対し、市民と科学者が一体となり、特に低線量による内部被曝を含む被曝問題に積極的に取り組み、子どもたちをはじめとする 全国の市民を 守って、被曝の影響を最小限にする研究を行って市民に提供し、また政府のパブリックコメントに応ずるなど多面的な活動を行っております。
つきましては添付させて戴きました「放射能汚染食品の摂取による内部被曝の回避に向けた七つの提言」をお読み下され、これらの提言をお取り上げいただきま すようお願い申し上げます。

放 射能汚染食品の摂取による内部被曝の回避に向けた七つの提言

2012年8月6日
市民と科学者の内部被曝問題研究会
理事長 澤田 昭二

<目 次>
はじめに 
◆政府に対する七つの提言 
(1)限りなくゼロベクレルを目指す 
(2)第一次産業従事者(生産者)と消費者に対する補償 
(3)第一次産業従事者の権利保障と放射能汚染のない食糧の大増産 
(4)四囲の海洋における放射能汚染調査の徹底と安全な海産物の安定供給 
(5)河川・湖沼水と沈殿物の放射能汚染調査の徹底と安全な飲料水の安定供給 
(6)高性能の放射能汚染迅速調査システムの開発・実用化 
(7)給食食材の安全確保ならびに全出荷食品の放射能汚染調査とベクレル表示 
◆提言の理由と背景 
1.呼吸による内部被曝と飲食による内部被曝 
(1)呼吸による内部被曝 
(2)飲食による内部被曝 
2.放射能汚染食品の「暫定規制値」と「新規格基準」(新基準値)
(1)2011年3月17日の「暫定規制値」 
(2)2012年4月1日からの「新規格基準」(新基準値)
(3)原発事故後は低レベル放射性廃棄物以上かそれ並の汚染食品が流通し得る 
3.放射能汚染食品の「出荷制限」の法的根拠と公的な食品調査の実態 
(1)放射能汚染食品の「出荷制限」の法的根拠 
(2)食品の放射能汚染の公的調査の杜撰な実態 
(3)新基準値に基づく食品の放射能汚染の公的調査結果の姑息な公表方法 
4.放射能汚染食品の規制値の歴史
(1)チェルノブイリ原発事故直後 
(2)ICRP 1990年勧告以後 
(3)海外の事例 
(4)ICRP(国際放射線防護委員会)の身勝手なご都合主義 


はじめに

 今回の東電福島第一原発(以後、福島原発)事故による放射線被曝が一般の人びとに及ぼす影響は、外部被曝と内部被曝に分けられます。しか し、全国 的にみれば、主として呼吸または飲食による内部被曝が問題です。内部被曝の影響を重視する程度を別にすれば、科学者・技術者の立ち位置の如何 にかかわら ず、内部被曝が問題であることは共通認識となっていると申し上げてよいでしょう。このような状況のなかで、私たち市民と科学者の内部被曝問題 研究会は、こ の内部被曝が生態系や人体に及ぼす影響を、ことのほか重視します。
 本年6月25日、東電発表の「原子炉建屋からの追加的放出量の評価結果」によれば、現在でも1~3号機から空中へのセシウム-134と セシウム-137の 合計放出量は少なくとも10,000,000Bq/h (ベクレル/時間)以上です。その他の放射性核種の放出量をはじめ、海水中や地中への放出量は一切明らかにされていませんが、看過できない量であることは 間違いありません。したがって、児童・生徒たちや妊産婦が緊急疎開することが望ましい福島県内の高汚染地帯や、関東のホットスポット地域など を除けば、放 射能汚染食品を摂取することによる内部被曝の回避が、現在の最重要課題であると考えられます。
 放射能汚染食品の出荷制限や摂取制限に関しては、昨年3月17日に急遽発表された国の「暫定規制値」や今年度(2012年4月1日)から 適用され た「新規格基準」(新基準値)があります。ところが、これらの値の拠り所はICRP(国際放射線防護委員会)の勧告であり、このICRP勧告 には人びとに 放射線被曝を一方的に強制するなど大きな問題があります。しかも、チェルノブイリ原発事故後における我が国の放射能汚染食品の輸入規制値に始 まる規制値の 歴史をひもとけば、そのときどきの規制値はさも科学的に算出されたような装いをしてはいますが、まったく一貫性が無く政治・経済的ご都合主義 で定められた ものであることが、すぐにわかります。放射能汚染食品の規制値は、人びとの命と暮らしを守るためではまったくないということです。それに加え て、公的な放 射能汚染調査の実態を見れば、ほとんどの農林水産物が無検査のまま市場に出回っていることがわかります。
したがって、現状のままでは放射能汚染食品の摂取による内部被曝を回避することは、市民団体の緻密な精力的活動を除けば、実際問題として不 可能です。
 ここでの重要課題は、政府の「事故収束宣言」による帰還運動とは裏腹で、人びとは放射能にひどく汚染された地域には住もことができ ず、 家畜・家禽等の飼育を含む農林水産業はできないということを大前提として、放射線感受性の高い子どもたちをはじめとする人びとの命と暮らしを 守ることを最 優先する政治です。そして食品の安全・安心の観点からは、放射性セシウム(本年3月までは放射性ヨウ素も対象)による放射線被曝リスクだけ を、もっぱら測 定しやすいガンマ(γ)線に頼って評価する政府の基本姿勢を改めることです。すなわち、アルファ(α)線を放出するプルトニウム238、同 239や、ベー タ(β)線を放出してイットリウム90になり、さらにベータ線を放出して安定したジルコニウムになるストロンチウム90などにも着目し、放射 性ヨウ素や放 射性セシウムが一連の崩壊過程で放出するベータ線にも着目することです。
そこで当市民と科学者による内部被曝研究会は、放射能汚染食品の摂取による内部被曝の回避に向けて、第一次産業生産者の生活 と生産活動の補償ならびに自然・農林生態系の保全を大前提とする緊急対策を構築するために、日本政府に対して七つの提言を申し 入れます。

◆政府に対する七つの提言
長期にわたる内部被曝の人体に及ぼす影響については、ECRR(欧州放射線リスク委員会)の2003年の勧告と2010年の勧告および、 ユーリ・ I・バンダジェフスキー(2009)、アレクセイ・V・ヤブロコフら(2009)、IPPNW(核戦争防止国際医師会議ドイツ支部) (2011)などが多 数の事例を紹介しています。これらの事例を紐解けば、ICRPや日本政府、政府に近い学者等の主張とは 大きく異なり、かなりの 低線量の内部 被曝でも多様な疾病の原因になることが明らかです。したがって、とくに妊婦の体内で成長中の胎児や生後間もない乳幼児、児童・生徒、生殖可能 な青年男女な どは、呼吸ならびに飲食による放射性物質の体内取り込みを可能な限り回避することが強く望まれます。
 ここにおいて、人びとが放射能汚染されていない食品を摂取できるように、中央政府も地方政府も、家畜・家禽や山野草を含むあらゆる農林水 産物について、限りなく放射能汚染のない食品の生産・流通を進める政策が不可欠です。
 なお、1960年代から自民党政権が進めた、従属的な日米安保体制と加工輸出貿易立国を謳う自由化・開放経済体制によって、もっとも衰退 したのが 第一次産業であり、なかでも自給的農業を伴う林業の衰退は大きく、中山間地域や離島を中心に過疎化・高齢化が急速に進み、集落としての社会・ 共同体機能が 失われ、やがて消滅に向かう「限界集落」や「超限界集落」が増え続けています。また、農業と水産業の軽視政策は、農村と漁村の衰退と休耕地・ 耕作放棄地の 増大ならびに食糧自給率の顕著な低下をもたらしました。
したがって、東日本大震災と原発事故という自然災害と人災によって壊滅的な被害を蒙った第一次産業の担い手たちを救済しつつ、自然・農林生 態系の保 全と食糧生産力の向上を図るためには、地域の枠を超えた集団移住・集団疎開を住民の意思に沿って総合的に推進することを保障する国家的政策が 不可欠です。 この事業が成功すれば、生活の場を奪われた人びとの新たな生活が保障され、かつ環境保全と安全な食糧生産も保障されます。
そこで、私たち市民と科学者の内部被曝問題研究会は、政府に対して以下の七つの提言を緊急に申し入れます。
(1)限りなくゼロベクレルを目指す:ECRR 2010年勧告に倣い、一般人の年間被曝限度を0.1mSv(ミリシーベル ト)以下、核施設作業労働者の年間被曝限度を2 mSvとすることを提案します。さらに、ドイツ放射線防護協会(Gesellschaft für
Strahlenschutz e.V.)の推奨レベルよりも厳しい放射性セシウムの1kg当たりの規制値として、当面、乳児~青少年は1Bq以下、成人は4Bq以下を提言します。
(2)第一次産業従事者(生産者)と消費者に対する補償:上記(1)の提案内容を保障するためには、規制値を超える汚染産品 を市場に出さないことが不可欠であり、その大前提として、東電と政府には第一次産業従事者(生産者)と消費者の生活と健康を守る義務がありま す。そこで、早急にそのための法整備を行うことを提言します。
(3)第一次産業従事者の権利保障と放射能汚染のない食糧の大増産:故郷への帰還の展望がみられない高汚染地域の第一次産業 生産者に は、非汚染地域または汚染のきわめて軽微な過疎地域の限界集落・超限界集落などへの集団移住または集団疎開によって生産活動を続ける権利を保 障し、遊休農 地、限界漁港背後集落等の積極的な利活用を図り、自然・農林生態系の保全と安全・安心の食糧大増産の担い手となってもらうことを提言します。
(4)四囲の海洋における放射能汚染調査の徹底と安全な海産物の安定供給:福島第一原発から放出されて太平洋に集積する放射 性物質 は、汚染水の意図的・非意図的な放流と空からの放射性降下物の他に、山岳森林地帯から河川を下り河口からの放射性流入物があり、この問題は早 晩、日本海に も及びます。したがって、日本海をふくむ四囲の海域のきめ細かな放射能汚染調査の継続・徹底と公表を進めるとともに、すべての漁港・市場に放 射線計測器を 設置し汚染海産物が流通しない体制の構築を提言します。
(5)河川・湖沼水と沈殿物の放射能汚染調査の徹底と安全な飲料水の安定供給:特に東北・関東甲信越地方の背骨に位置する山 岳森林地 帯は、福島原発事故によって大量の放射性降下物が蓄積し、種々の放射性物質の貯蔵庫として機能しながら河川を通じて流域から海に向けて放射性 物質を拡散し 続けています。したがって、安全な飲料水を安定供給するために、流域河川・湖沼水と沈殿物のきめ細かな放射能汚染調査の継続・徹底と公表なら びに除染対策 を進めるとともに、淡水産汚染食品が流通しない体制の構築を提言します。
(6)高性能の放射能汚染迅速調査システムの開発・実用化:本来は、公的機関による無料調査が原則ですから、そのために不可 欠なベル トコンベアー式検知器(例えば最新のGBO検知器では30 kgの米袋を10秒間で1 kg当たり25Bqまで計測可能)など、調査システムの精度と速度をいっそう大幅に向上させるための開発・実用化研究の緊急実施ならびに、全出荷食品のき め細かな調査体制の構築を提言します。
(7)給食食材の安全確保ならびに全出荷食品の放射能汚染調査とベクレル表示:子どもなど被曝弱者には安全な食品の供給が特 に重要なので、全保育園、幼稚園、学校等の給食食材の安全確保のため、産地選定ときめ細かな高精度の放射能測定の義務化を提言するとともに、 市販食品に放射能のベクレル表示の制度化を提言します。同時に、市民団体または個人等で実施されている放射能汚染調査をいっそ う広めるとともに、これに要する経費を東電と政府が支弁することの制度化を提言します。

(以上、(前半)転載終わり)
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by y_csm521 | 2012-08-17 00:26 | 食品汚染

by y_csm521